先日Amazonで購入した「認知症になった私が伝えたいこと」を読み進めました。

著者の佐藤雅彦さんは、40代後半で「何かおかしい」と感じはじめ、51歳で若年性アルツハイマー病と診断されます。

診断された当初から、「一人暮らしは無理だ、施設に入りなさい」と言われ、グループホームを紹介されますが佐藤さんは、できるかぎり一人暮らしを続けたいと考えたそうです。
その理由は、
・ 施設に入ると自由度が少なくなる
・ もっと人生を楽しみたい
というもの。

診断から9年。ひとり暮らしを続ける佐藤さんですが「1日1日が大変で、困ること・不便なことばかり」だと言います。
日記に記録された「困りごと」が羅列されています。

・ 食事の時間帯がわからない。
・ 携帯電話を見ないと今日が何日かわからない。
・ 昨日もらった書類を覚えていない。
・ 明日の予定もわからない。
・ 銀行通帳をなくした。
・ 障害者手帳をなくした。
・ パソコンを起動するが、何をしようとして起動したかわからない。
・ 買い物に行き、買ったものを冷蔵庫に入れ忘れる。

などなど…

それから、収入がないこと。
行くところがないこと。

生活費は、障害年金(2級)の月10万ちょっとと、これまでの蓄えを切り崩しているそうです。

現在の佐藤さんは、認知症患者の体験を伝えるための講演活動をしたり、本を書いたり、認知症当事者の会「3つの会」の代表など、自分の居場所を確立しています。
当時は自由な時間を持て余し、収入がないことに困っていたのですね。
確かに! まず、これだよな。

この自由な時間というのがやっかいな代物だそうで、何もせずに1日ボーッと過ごしていると「自分は何のために生きているのか」などと余計なことを考え、悲観的になってしまったといいます。
若年性アルツハイマー病と診断されて佐藤さんは退職しました。
しばらくは、この自由な時間をどうつぶしてよいかわからずに不安になり混乱してしまうことがあったそう。
しかし現在は、貧困国の子供たちを支援するボランティアや礼拝・聖歌隊の練習などというように積極的に出かけているようです。

ただ認知症の佐藤さんには「出かける」のにも問題がたくさんあります。

・ どこに行こうとしていたのかを忘れてしまうことがある。
・ 初めて訪れる場所は、1人では無理。
・ 来た道を戻るのも苦手。(戻るには目印を覚えておくということが必要ですから)
・ とにかく疲れる。

などなど。

「とにかく疲れる」というのはこういうこと。
普通なら考えごとをしていても、赤信号が目に入れば止まります。
そんなあたりまえのことが難しくなり、注意を払っていないと赤でも横断してしまうのだそうです。
認知症の人の場合、
街を目的地に向かって歩きながら + 人にぶつからないように + 信号に注意しながら…などというふうに、複数のことを同時に行うのはとても困難で疲れることなんだそうです。

なるほど。
これは大変そうだ。
しかし、佐藤さんは外出を諦めないようにしています。
外出を諦めてしまうと、どんどん世界が狭くなり、楽しみや張り合いがない毎日になってしまうからだそう。

佐藤さんってタフな人だな。

「複数のことを同時に行うのはとても困難」というのは、外出に限ったことではなく普段の生活の中でも無数にあります。
例えば、料理を作る。
音楽を聞きながらメールをうつ。
テレビを見ながらご飯を食べるのも難しいそうで、テレビの内容は頭に入ってこないし、ご飯の味もわからなくなってしまうんだそう。

「認知症の施設などでは、よく食堂でテレビがついていたりしますが、ごはんを残す人が多いのはこのためではないでしょうか。きっと、食べることに集中できないのです。」
佐藤さんは、そう考えています。

佐藤さんは、この数々の困ったことに対して対策を考え、工夫をしています。

・ 初めての場所を訪れる時には、誰か同行してくれる人を探す。
・ ごはんを食べる時はテレビを消す。
・ 買い物に行く時は、買うものリストと買わないもの(家にストックがあるもの)リストを持って行く。
・ 湯を沸かすなどで火を使う時は他のことを絶対にしない。

といった具合に。

この「諦めずに、考えて工夫する」姿勢は、元々の佐藤さんの性格なのか、それとも認知症でもひとり暮らしを続けるために編み出されたものなのか…

前向きに暮らそうと工夫を凝らす佐藤さんですが、もちろん、どうしても気力がわかない時もあるといいいます。
そんなときにはまず、起きられなくなるそう。
眠いのとは違い、起きていてもとにかくダルく起きられない。
そして、テレビの音がうるさくなってきたら黄色信号。
好きな音楽が聴けなくなって周囲の反響音でも嫌になると赤信号だそうです。

もう、そうなってしまうと、ちょっとした刺激にも対処できず食事もあまり取れなくなってしまいます。
そういうときには、何もしない。ひたすら回復を待つ。
静かな所で、じたばたせず、けっして焦らず、イライラしないで、必ず活気が出てくることを信じて待つのが、佐藤さんのスタイルだそうです。

しげさんが、よく「しばらくしたら回復するから」って言うけれど、まさか佐藤さんのような考えなの?
…いや、偶然の一致だろな。
しげさんのは、「回復を信じて」というよりは「その場しのぎで後回しにする」って思考の方が強く働いてそうだ。

この本に繰り返し何度も何度も書かれているのは、
「認知症になったら何もわからなくなるわけではなく、自己が崩壊するわけでもない。できることはたくさん残されている」
ということ。
何かが一度できなくなっても、体調が良くなればまたできることもある。今日はたまたまできなかったのだと思って、次の日またやってみる。あきらめずにチャレンジする。
それが大切だということ。

本を一冊書き上げるということが出来るのにまず驚き!
途中、原文のままに記載されてる部分などは誤字や、言い回しのおかしい所も見受けられますが、何を言いたいのかはきちんと伝わっています。
自分の思いを伝えたいという執念のようなものなのかな。

しげさんの希望を尊重したいとは思っているんです。
でも、もともとロクデナシ武勇伝の数々を誇る父・しげさんです。

佐藤さんのように、自分で色々とリスクに備えて予防線を張ったり、病気になったり亡くなってしまった時に備えて諸々のことを整理しておいたりできる人ならな〜

ろくでもないジジイですが、しげさんのこと、愛しています。
だから心穏やかに、思うように生活をしてほしいとは思っているんです。
でも…やるべきことは片付けてからの方が心穏やかに過ごせそうだよな。
目をつむり、耳を塞いで、さらにドアを閉め、布団をかぶって嵐が過ぎるのをじっと待つようなしげさんを、巣穴から引っ張り出したい〜
う〜
悩ましいな。

佐藤さんの発信してくれた認知症当事者の「ありのまま」、参考にするぞ!
佐藤さん、応援してます♪

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