息抜き読書♪「長寿の秘密:冒険病理学者が探る世界の長寿食」

平成7年初版と古い本ですが、著者の家森幸男さんが魅力的です。
おもしろいな♪
私、「食」を柱にしたこういう本、好きなんです。
とても気に入って何度も読み返しているのは、松本仁一さんの「アフリカを食べる」と上原善広さんの「被差別の食卓」。
この「長寿の秘密:冒険病理学者が探る世界の長寿食」もすごくおもしろい♪
著者の家森幸男さんは、病理学者さん。世界中の様々な地域の人の食と健康を調査し、現地で血液・尿を採取したりして研究しています。
「脳卒中ラット」の開発者として世界的に有名な教授だそうです。

旧ソ連南部、黒海とカスピ海にはさまれたコーカサス地方は、長寿地域として世界中に知られている所です。
100歳以上のお年寄りがいきいきと暮らしており、長寿の里と呼ばれているそうです。
このコーカサス地方でも特に長寿の人が多いといわれているグルジア共和国のジャワ近郊の農村で調査をしたときのことが書かれています。

グルジア共和国。気候が温暖で文化や貿易の交流地点として古くから栄えてきた所だそうです。
著者の研究グループが現地に着くとたくさんの100歳老人(センチナリアンと呼ばれるそう)が大勢、大歓迎をしてくれます。
そのセンチナリアンと一緒に食事をしたときのこと。
まずびっくりするのは、テーブルの上にたくさんの野菜・果物がのっていて皮や種も丸ごと食べてしまうこと。
ちょうど、ぶどうの最盛期だったこともあり大皿に山盛りのぶどうが出されたそうです。
グルジアのセンチナリアン達は丸ごとどんどん食べて行きます。テーブルは汚れません。
一方、日本人側のテーブルはぶどうの皮や種でいっぱいになって行きます。これは礼儀に反したことをしてしまったと思い、皮や種も食べることにしたそうです。
そして大変なことになります。
日本人の全員が下痢になってしまったのです。しかも1人は脱水症状を起こすほどの激しい症状にまで。
もちろん現地の人はまったく平気。
なぜなんでしょう?
その秘密はヨーグルト!
グルジアの人たちは、どこの家庭も朝・昼・晩と自家製の発酵乳(ヨーグルト)を飲んでいたそうです。
昔の日本でいう所の「ぬか漬け」のように各家庭で作っているそうです。
このヨーグルトの栄養を分析するために日本に持ち帰ったところ、不思議なことが起こります。
分析が終わったヨーグルトが腐らない。
おかしなことがあるものだと、細菌を研究している先生に調べてもらいます。

ヨーグルトは発酵食品です。
発酵には空気が必要です。蓋を開けて空気に触れるようにしなければなりません。
しかし、長時間空気に触れるということは空気中の大腸菌などの雑菌が入り込むということです。
腐ってしまうんですね。
ところが、このグルジアのヨーグルトはしばらく放置した後も、ものを腐らせるような菌は検出されなかったそうです。
つまり、このヨーグルトには自然の中にある抗生物質が入っていたんです。
このような自然の中にある抗生物質が身体に悪さをする菌を腸内で増やさせない働きをしていたというのです。

長寿は医療費では買えないのかもしれない

下痢が悪化し危険な状態になっている日本人研究者たちは、このまま医療の整っていないグルジアにいてはダメだと思いモスクワまで行こうと夜行列車に乗ります。
そしてその夜行列車で腹痛は悪化しお医者さんに見てもらうことになります。
そのお医者さんが胃けいれんを押さえるためにブスコパンを注射することになります。
その取り出した注射器が驚くほどの旧式のもの!
日本の医学展示博物館に展示してあるものと同様のもので、江戸時代から明治初期に使われていたものだというから驚きです!
こんな旧式の注射器では消毒してあるかどうかも疑わしく大変怖い思いをしたとあります。
こんなに医療体制が整っていないというのにグルジアが長寿を達成しているということは、長寿は医療費では買えないのかもしれないと家森さんは思ったそうです。

グルジアでは農耕牧畜が盛んで、お年寄りたちはその経験が役に立つので非常に頼りにされ、尊敬されています。
長老は一族の相談に乗ったり、牛を追ったり、ぶどう畑の世話をしたりと年を取ってからも隠居せず忙しい毎日を送ります。
自分が家族や社会の中で一定の位置を占めていると思えるような人間関係や人のために役に立っているという役割感がお年寄りの活力を支えているのです。

10年も前の本なので、現地での生活もだいぶ変わっていることでしょう。
実際に健康に役立てるというよりも、読み物として面白い本です。
お年寄りは「頼りにされている」という役割感で活力を得る。なっとく! がってん がってん♪

このヨーグルト、コーカサスがカスピ海に面しているので「カスピ海ヨーグルト」かなぁとググってみました。ケフィアでした。
懐かしい! 一時流行りましたよね♪
ちなみに市販されているもので比較すると、カスピ海ヨーグルトは「乳酸菌だけの単独発酵」でケフィアは「乳酸菌と酵母の共生発酵」だそうです。
作ってみようかな…。いや…腐らせそうだな。

カスピ海ヨーグルトについての著書もあるみたいです。
家森幸男さん
1937年、京都府生まれ。島根医科大教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授などを経て、現在、WHO循環器疾患専門委員、武庫川女子大学国際健康開発研究所長、ハーバード大学客員教授、京都大学名誉教授など。98年紫綬褒章。脳卒中ラットの開発者として世界的に知られる。「長寿の秘密」「大豆は世界を救う」など著書多数。

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